3-1 発現、精製

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a)一般的なこと

 結晶解析には、大量の蛋白質が必要なため、蛋白質の大量発現系が必要となります。確かに、結晶解析のスピードは上がりましたが、使うサンプルの量はそれほど変化がない様な気がします(数100mgは欲しいところです)。要するに、実験が早くなったので使うスピードが上がっただけです。そういう意味では、以前より大量の蛋白がいるということになってしまっているのかもしれません。

 発現、精製に関しては、蛋白質ごとに少しづつ違いますが(三井研2研標準プロトコルはここだ!)、X線結晶解析用のサンプルを用意する際に一般的に注意しておくべき事柄をあげておきます。

 要するに、毎回再現性の良いサンプルを供給することが重要です。サンプルの条件の変化によって、出ていた結晶が出なくなることは良くあることです。当然、結晶化が上手くいっていないときには、純度を上げるなどの改善は必要です。何にしても、蛋白質のサンプルがきれいすぎて困っちゃうなんて話はないので、できる限り純度を上げるように努力すること。

 精製の際に、横着してカラムのキャパシティーをはるかに越える蛋白質量をアプライしている人がいますが、面度臭がらず2度3度に分けてやること。純度が落ちる原因になる。また、各段階の蛋白質濃度をきちんと測って、毎回同じになるように精製を行うこと。要するに、品質管理をきちんとすること。蛋白濃度を測るなんて10分かそこらあればできるのだから、面度臭がらずにやること!各段階できちんきちんと、品質管理することで、トラブルに対する対処の早さが決まってくる。

b)セレノメチオニン蛋白質の発現

 メチオニンの代わりに、セレノメチオニンを含んだ蛋白質を作っておけば、解析において非常に有利なので、当研究室においてもセレノメチオニン蛋白質の生産を大腸菌を用いて始めました。セレノメチオニン自体が毒性を持つアミノ酸であるせいか、Nativeの物と比べて発現量が落ちてしまうようです。しかし、後で得られる恩恵は大きいので、生産可能ならがんばって作りましょう。セレノメチオニン蛋白質の利用について詳しくはこちら