差のパターソン図について(補足)

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 差のパターソン図を解く上で大切なことは、解けるパターソン図と、そうでないものとの区別をつけることです。しかし、こんな事をいきなり言われてもなかなか実感がわかないのが普通です。ですから、解けるパターソンの例、こんなのやっても無駄だ!というパターソンの例を幾つかあげておきます。各自良く見て参考にして下さい。見比べれば、簡単に違いはわかります。自分の計算したパターソン図はどんな感じですか?『ダメなパターソンだなあ』という人は、さっさと重原子同型置換体の実験に戻りなさい。『よくわからん』という人は、わかる人に見てもらって下さい。

 さて、差のパターソン図を解くのが始めての人は、少し練習をしましょう。実際には、rpsp等のプログラムを使って解いてしまっても良いのですが、少しは意味が分かってないと、修士論文を書いたり、学会の発表の時に恥をかくだけです。ハーカーセクションって何のことだか分かるか?勉強して下さい。実際には、下のような表を作ってみると良く理解できます。始めての人は、必ず自分の空間群の表を作ること。下の表の意味が分からない人は、怒られる前に勉強しよう!(パターソン図の意味から勉強すれば分かるはず。分からない人は聞きに来なさい)

Patterson vectors for Space group P21

x, y, z

-x, -y, z+1/2

x, y, z

0

-2x, -2y, 1/2

-x, -y, z+1/2

2x, 2y, 1/2

0

 この表を見れば、ハーカーセクションが1/2であることが一目瞭然です。意味が分かったら、今度はxとyに好きな値を入れてみて(これが重原子の座標になるわけだ)、実際にどんな差のパターソン図ができるか自分で方眼紙の上で確かめてみよう。これを何回かやれば、だいたい感じがつかめてくるはずです。分かってきたら、実際に差のパターソン図を解きましょう。簡単に解けるはずです(少しは頭使うけど)。

 実際には、面倒くさいので(分かってる人は)rsps等のプログラムを使って解いてしまいます(プログラムを使うにも、差のパターソン図のことが分かってないと、説明を読んでも分かるまい)。それらしい解が出たら、vectorsやnpoを上手く使って、解と差のパターソン図が矛盾していないか確かめます。合っていればMLPHAREで重原子位置を精密化します。重原子サイトはMajor siteのみ拾えば十分です。Minor siteは後で拾います。