ビフィズス菌由来1,3-1,4-α-L-フコシダーゼの基質結合における構造変化

ビフィズス菌は小腸下部〜大腸に棲息しており、私達ヒトが消化・吸収できない複雑な糖質を分解できるユニークな酵素を多数持っています。京都大学・石川県立大学のグループによってビフィズス菌から発見された1,3-1,4-α-L-フコシダーゼ(AfcB)と呼ばれる酵素は、ヒトの母乳に含まれる複雑なオリゴ糖を分解する酵素であり、特に、ルイスA [Galβ1-3(Fucα1-4)GlcNAc-]およびルイスX [Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAc-]と呼ばれる血液型抗原部分に特異的に作用することがわかっています。

GH29

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AfcBの活性中心はAsp172(求核触媒残基)とGlu217(酸/塩基触媒残基)ですが、この2つの残基が存在する2つのループが、それぞれ、基質(ルイスA)の結合に伴って大きく動き、正しい位置に収まります。この酵素はルイスA/Xのフコース(DFU, 緑)を切断する酵素ですが、基質の結合時にガラクトース(GAL, 水色)を強く認識していることが分かります。

本研究の詳細に関しては以下の論文をご覧ください。

H. Sakurama et al.
1,3-1,4-α-L-Fucosynthase that specifically introduces Lewis a/x antigens into type-1/2 chains
J. Biol. Chem. 287 (20), 16709-16719 (2012)

H. Sakurama, S. Fushinobu, and T. Katayama