タンパク質のX線結晶構造解析とは

私たちの研究室で立体構造を解析したタンパク質(好熱菌由来β-ガラクトシダーゼ、PDB ID: 1KWG)の実験手法についてご説明します。

結晶の外見

上の図のような外見のタンパク質結晶(大きさ約0.2mm)を作成し、茨城県つくば市、高エネルギー加速器研究機構、放射光施設のビームラインBL6Aに持ち込み、X線回折写真(下図)を撮影しました。

黒地に斑点

上の図は、波長1.0Å、太さ約0.1mmのX線ビームを当てて、約30cm後ろに置いた20cm X 40cmのイメージングプレート上に投影された回折像です。(上の図では、その中心部、20 cm X 20 cmの部分を示しています)

結晶を回転させながら何枚も写真を撮り、図中の白い斑点(回折点)の強度を測ることにより、データ測定を行います。

測定したデータを、コンピュータを用いて解析することにより、結晶中のタンパク質の原子レベルでの構造を決定できます。この図の回折点からは、2.0Å(=0.0000002 mm=一千万分の2mm)以上の解像度の画像が得られます。 ちなみに、一般的なタンパク質分子の大きさは、数十〜百Å程度です。


2.0Å分解能の電子密度の例